クラシックの曲は、「長い」ことも大きな特徴です。
Jazzやポップスは5分前後の曲がほとんどなのに対して、クラシックは様々な長さの曲があります。
『ニーベルングの指環』という上演時間15時間という規格外のオペラもありますが(笑)、器楽だけで構成される「交響曲」でも、おおむね40~60分程度の演奏時間です。
中でもマーラーの交響曲は「長い」ことで知られていて、今回聴いた『第9番』のように演奏時間が90分かかるものもあります。
交響曲には、テーマに沿って表現されたものもあり、1曲を通してそのテーマに向き合うことになります。
それだけ演奏者はもちろん、聴く方にも集中力を求められるものです。
音楽に身を委ね、流れる音から想起される感情や情景を心に映しながら楽しむ。
これが、クラシックを「芸術」と呼ぶ所以だと考えています。
東京フィルハーモニー交響楽団 第95回オペラシティ定期シリーズ
東京フィルハーモニー交響楽団、第95回オペラシティ定期シリーズを聴いてきました。
今回演奏されたのは、マーラー作曲『交響曲第9番』。
尾高忠明さんの指揮で、とても安定したマーラーを聴かせていただきました。
この交響曲のテーマは「死」。
マーラーの晩年に書かれた最後の3曲の交響曲は、「死」や「別離」、「浄化」などがテーマになっています。
これはマーラーの愛娘の死に続き、彼自身も心臓病を患い、妻は不倫という、作曲された当時の心情を反映したものとなっています。
「死」の予感を色濃く表す、シリアスな音楽を90分聴くのは結構ヘビーです。
「命」や「存在」、「別れ」や「魂」などさまざまなモチーフが現れ、形を変えたり繰り返されたりして、印象を強めていきます。
最後は天に召されるような静かなやすらぎの中で、長かった90分の演奏は幕を閉じます。
このときの、残響後のしんと静まり返った静寂は格別です。
そして演奏者を称える拍手が会場を埋め尽くし、演奏が素晴らしいものであったということが証明されるのです。
「死」にまつわるクラシック界の逸話
ベートーヴェン、シューベルト、ドヴォルザーク、ブルックナーなど、巨匠は揃って交響曲第9番を書いて亡くなっています。
マーラーの遺した交響曲は10曲ありますが、9作目が『大地の歌』というタイトルでナンバリングされておらず、奇しくも10作目の『第9番』を書いたあとに亡くなってしまいました。
そんなわけで『交響曲第9番』は、作曲家にとって特別な存在になってしまっていると言われています。
他にも
モーツァルト(クラリネット協奏曲、五重奏)、
ブラームス(クラリネットソナタ、五重奏、三重奏)、
サン=サーンス(クラリネットソナタ)は、いずれも晩年期に書かれているので、
「クラリネットの曲を書き始めると死ぬ」という逸話もあります。
まとめ
やはり生音で楽しむ音楽は脳に直接届くような感覚があり、シビれますね。
生音でオーケストラを聴いたことがない方は、ファミリー向けの聴きやすい公演などもあるのでぜひ会場へ足を運んでみてくださいね。
次回の定期公演は帰省とバッティングしてしまうので、定期会員の特権で別の公演へ振替をしようと考えています!
コメント