東京フィルハーモニー交響楽団の、2015-2016シーズンが始まりました。
4月に予定されていた公演がマエストロの体調不良で中止になってしまっていたので、いよいよ今月からスタートです!
プログラムの雰囲気も一新して、新しいシーズンの始まりを楽しませてくれます。
聴き所は若きマエストロと吹奏楽で有名なあの曲?
今回のコンサートの聴き所は2つ。
まずひとつめは、「若きマエストロ」です。
本公演の指揮者アンドレア・バッティストーニは、若干27歳ながらも各地で賞賛を浴びる実力派。
2年前、彼が東フィルを振ったレスピーギ『ローマ三部作』は大絶賛され、CD化もされています。
今年から彼を客演指揮者として迎えた東フィルは一気にバッティストーニ推しで、定期で2回登場します。
イタリア生まれの彼の振る、オールイタリアプログラムに胸が高鳴ります。
もうひとつの聴きどころは、メイン曲のレスピーギ作『シバの女王ベルキス』。
この『ベルキス』は、吹奏楽版が吹奏楽コンクールで流行り、今では吹奏楽をやっていてを知らない人はいないくらい超有名になっているにもかかわらず、オーケストラではめったに演奏されることがないという、珍しい曲です。
その人気の証拠に、会場はほぼ満席の観客なうえ、若い学生がたくさん見えました。
その中には、吹奏楽コンクールで金賞常連校で有名な先生の姿も。
改めて吹奏楽人気はすごいなぁと、オーケストラを聴きに来て思うとは。笑
公演プログラムと所感
第94回東京オペラシティ定期シリーズ
ロッシーニ/歌劇『コリントの包囲』序曲
ヴェルディ/歌劇『シチリア島の夕べの祈り』より舞曲
プッチーニ/交響的前奏曲
レスピーギ/組曲『シバの女王ベルキス』
指揮:アンドレア・バッティストーニ
アンドレア・バッティストーニの音楽に熱狂した!
今回のプログラムはオールイタリア人作曲家のプログラムで、古典のロッシーニから、オペラ最盛期のロマン派ヴェルディ&プッチーニ、20世紀初頭のレスピーギという、曲順も年代に沿ったものになっていて、趣向を凝らしたプログラムだと感じます。
敢えてオペラではない、シンフォニックな選曲ながら、それぞれにイタリアらしい歌うようなメロディを聴かせてくれたバッティストーニのタクトが素晴らしかったです。
若きマエストロは力強さ、しなやかさ、そして観客だけでなくオーケストラをも引きつける圧倒的な情熱があって、会場全体が興奮に包まれました。
『ベルキス』は、僕が中学3年と高校3年のときに吹奏楽コンクールの自由曲だった思い入れのある曲。吹奏楽版ではアレンジが違うものの、クラリネットのソロやフレーズは頭に自然に浮かんで指が動き出します。
演奏者側の人は、自分が演奏したことがあるか否かで、演奏を聴いた時の受け取り方がずいぶん違うんだなぁと思います。
この曲は時に、客観的に聴けないなぁとワクワクしながら最後まで楽しみました。
演奏後の満員の観客からの大喝采が今日の演奏会の大成功を物語っていました。
拍手が鳴り止まない会場を見渡しながら「そう、こんなにも音楽は熱狂できるんだ」と、改めて音楽の素晴らしさを噛み締めました。
次回の彼と東フィルの公演は、9月のオペラシティ定期、ムソルグスキー『展覧会の絵』です!