今回もラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2015の有料公演レポートをお届けします。
開催3日目は、オーケストラを2公演を楽しんできました。
■あふれる想い~ロドリーゴの愛と悲しみの協奏曲~
情熱の国スペインから、2人の作曲家をフィーチャーしたプログラム構成。
1曲目は音楽の教科書にも載っていたロドリーゴの『アランフェス協奏曲』。
昨年デビュー45周年を迎えたクラシックギターの重鎮、荘村清志が登場。アランフェスの内に秘めたような渋い情熱を荘村さんが熱演、どこかノスタルジックで繊細なクラシックギターの魅力をたっぷりと感じることができました。
2曲目はファリャのバレエ音楽『恋は魔術師』。
ファリャは『三角帽子』の方が有名だと思いますが、音楽祭テーマの「PASSIONS」になぞらえて「恋・スペイン」で持ってきたのかなという印象でした。開催期間中にかなり多くの楽曲を演奏するにもかかわらず、シンフォニア・ヴァルソヴィアの演奏はお見事でした。
■大円団を飾るパシオンの饗宴
ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン最後の公演は、音楽祭の最後を飾る大円団プログラム。オペラ、ピアノ協奏曲など盛りだくさんのプログラムで、音楽祭はこれを聴かなければ終われないというくらいに豪華な構成。
オペラのハイライト、ソリストはソプラノ アマンダ・パビアン、テノール アレッサンドロ・リベラトレーノが登場。プッチーニ『ジャンニ・スキッキ』と『ラ・ボエーム』、ドニゼッティ『愛の妙薬』、ヴェルディ『ラ・トラヴィアータ』の名アリアを朗々と歌い上げ、観客を沸かせました。テノール歌手の声質がとてもよかったのですが、会場が大きすぎるのが少し残念に感じました。
そしてグリーグの『ピアノ協奏曲』では今回の注目アーティスト、ユリアンナ・アヴデーエワが登場。彼女はマルタ・アルゲリッチ以来45年ぶりにショパンコンクールで優勝した女性ピアニストとして脚光を浴びて、世界中で活躍中。演奏は力強くかつ、正確なタッチと細かなフレーズまで明瞭に聴こえる演奏テクニックがあって、巨大なホールにもかかわらずそれを感じさせない見事な演奏。観客もそれが伝わったのか、盛大な拍手が鳴り止まず、5回もカーテンコールをするほどに湧き上がりました。今後彼女もアルゲリッチのような名ピアニストになっていくのだと思うと、このタイミングで聴けたことを幸せに思います。
そして最後を飾ったのはロベルト・トレヴィーノ指揮、シンフォニア・ヴァルソヴィアのマルケス作『ダンソン 第2番』。中米の民族舞曲をモチーフとした曲で会場全体を盛り上げ、大喝采のうちに終演しました。
開催期間中に5回もの演奏をシンフォニア・ヴァルソヴィアで聴くことになりましたが、5000人収容の巨大なホールにもかかわらず遠くの席まで音を届ける演奏力、オペラからシンフォニーまで表現力も幅広く、これだけ多くの楽曲を3日間演奏し続けかつクオリティも高いという、とても素晴らしいオーケストラだと賞賛したいです。それを率いた指揮のロベルト・トレヴィーノも明瞭なタクトさばきと多彩な表現力を持つ素晴らしい指揮者で、今後注目して行きたいと思います。
ラストを飾った大円団プログラムのコンサートはとても満足度が高く、「音楽祭を楽しんだ!」感をとても強く感じました。ラ・フォル・ジュルネに参加される方は、ぜひ鑑賞していただきたいと思います。
3日間音楽に包まれた音楽祭も、これで閉幕。12年目になる来年は、さらに盛り上がって素晴らしいものになってほしいものです。新たな音楽、感動との出会いを与えてくれた音楽祭に感謝です。
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