現在開催中のラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2015(以下、LFJ)。
わたしは、この音楽祭のために上京してきている父(元高校音楽教諭)とともに、3日間会場に足を運ぶ予定です。
連日にぎわいを見せている会場から、有料公演のレポートをお届けします。
演奏のクオリティもさることながら、今年のテーマは「POSSION(パシオン)」と銘打たれているそのコンセプトもポイントのひとつです。
生オーケストラの聴き比べができる贅沢
開催1日目の5月2日は、4公演を聴いてきました。
そのうち3公演は5000人の大きなホールでの管弦楽(協奏曲を含む)。
演奏するオーケストラが入れ替わるので、この聴き比べを楽しみにして行きました。
【ドヴォルザークの道ならぬ恋】
LFJ2015年最初の公演はドヴォルザークから。
ポーランドのオーケストラ「シンフォニア・ヴァルソヴィア」による、ドヴォルザークの『交響詩 野鳩』、同『チェロ協奏曲』。
シンフォニア・ヴァルソヴィアは(日本にはあまりなさそうな)柔らかい音のするオーケストラで、それでいて音の反応が良く、5000人収容のとても広いホールでしたが、演奏を十分に楽しむことができました。
ドヴォルザークのチェロ協奏曲(通称ドボコン)は、『新世界』や『弦楽四重奏アメリカ』などと同じアメリカ時代に作曲された彼の円熟期の作品で、彼がかつて想いをよせた人への愛情も表現されていて、何度聴いても渋くてかっこいいと感じる曲です。
若いイケメンチェリストのエドガー・モローも、テクニックはさることながら、意外と緩徐楽章の2楽章がよかったりと、面白い発見がたくさんあった公演でした。
【ブラームスの秘めた激情】
オケは変わって、かつてメンデルスゾーンやシューマンが音楽監督をしたというドイツ系の伝統のあるオーケストラ、デュッセルドルフ交響楽団が登場。
曲はブラームス『ピアノ協奏曲 第1番』で、クララ・シューマンとの恋のパシオンを重ねたプログラム。
ヴァルソヴィアとはうってかわって、硬くて引き締まった響きで、アンサンブルもまとまりのある雰囲気。
でも奥の方の席で聴いていたのであまり音が飛んで来ず、ヴァルソヴィアの方が(常連だから?)明らかに音の「飛び方」が良かったのは少し驚きでした。
「その理由はなぜだろうか?」とかを考えるのもまた一興。
【ベートーヴェンのいのちのパシオン】
再度、シンフォニア・ヴァルソヴィアが登場。
曲はベートーヴェンの『交響曲 第3番 英雄』、当時の交響曲の常識をくつがえす野心的なエネルギーを持った作品として知られている名曲です。
ヴァルソヴィアは先のステージで感じた期待通り、細かい音までしっかりと聞こえて聞き応えがあって、大きいホールでもしっかりと「英雄」を楽しむことができました。
木管、金管、弦、それぞれに特徴がありつつも、優しい音色でとてもここちの良い響きがするオーケストラで気に入りましたね。
「聴き比べ」を楽しむ
今回はじめてオーケストラを続けて聴いてみましたが、違いがよくわかってとても面白かったです。
たとえば1日通しで聴くなどするような楽しみ方もよさそうですね。
1つ気になったのは、一番安いB席はほとんど埋まっているにもかかわらず、S席やA席などの後列側が空いている状態(中抜け状態)で演奏会が始まるという「もったいない」状態が起こっていたこと。
安いチケットが先に売れることはしかたのないことですが、なんとか5000人収容のホールを埋めれるような集客をしてほしいなと感じました。
明日の最終日まで、存分に楽しんでレポートを書いていきますので、ご期待ください!
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