鳴り止まない拍手、そしてスタンディングオベーション。
今日は素晴らしい演奏会だったことを裏付ける、会場の空気感が心地いい。
東京フィルハーモニー交響楽団、第91回オペラシティ定期を聴いてきました。
アジアの誇る名指揮者チョン・ミョンフンと100名近い大編成のオケによる、80分間ぶっ通しのマーラー。
規模、時間、質ともに充実した素晴らしい演奏会でした。
■第91回オペラシティ定期 プログラム
グスタフ・マーラー/交響曲 第6番『悲劇的』
指揮: チョン・ミョンフン
■マーラー 交響曲 第6番『悲劇的』について
交響曲第6番『悲劇的』は、オーストリアの作曲家グスタフ・マーラーが1904年に完成させた作品。
声楽入りの交響曲第2~4番と対照的に、第5~7番は純粋な管弦楽として演奏されます。
「長い」「でかい」で知られるマーラーの交響曲ですが、この作品も例に漏れず。
オーケストラは通常の倍の編成で、管弦楽器はもちろん、ティンパニーやハープも2セット、カウベルやハンマーなど珍しい楽器?も登場します。
そして全4楽章の演奏時間は約80分という、超大作です。
80分というと思わず「長いな~」と思ってしまいますが、オーケストラの集中力も高く、メンバーの気合いの入り方が違うようにも見えました。
長大な曲ということもありますが、指揮がチョンさんということも影響していると思います。
わたしがスタッフでいたころから、団員からの信頼と人気が高かったことを思い出しました。
ステージに上がると寡黙で真剣な表情になるチョンさんは、決して派手な指揮者ではありませんが、オーケストラの力を最大限に引き出します。
100人規模の大所帯にも関わらず、一体感のあるメリハリの効いた演奏で、あっという間に80分が過ぎました。
■チョンさんの人気の高さがすごい
この曲は、ラストに主人公が死を向かえるようなイメージのドラマティックな終わりかたをします。
強烈な和音のあとの静かな刻み、そして静寂。
会場の張り詰めた空気が、ふっ、と緩むと、途端に湧き上がる観衆。
平日の夜にも関わらず、8割以上埋まった客席から、大喝采が巻き起こりました。
スタンディングオベーションをしている人もちらほらいるほどで、この演奏会が大成功だったことを表していました。
チョンさんは非常に人気の高い指揮者なので、熱烈なファンも多く、会場の拍手はなかなか鳴り止みません。
そうしているうちに、一度楽屋に入ったチョンさんと団員が、再びステージに戻ってきました。
こんなことは稀ですが、ステージ下に集ったファンと握手をするなど、十分な交流をして帰っていきました。
チョンさんの人気の高さと人柄の良さを感じました。
さて、来月はいよいよ今シーズンのラストを飾る、コバケンの幻想です。
2週間後が待ち遠しいですね。
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