東京フィルハーモニー第90回オペラシティ定期演奏会を聴いてきました。
前回の佐渡裕さん(ハイドン・ブルックナー)から、約2ヶ月ぶりの東フィル定期。
会場のオペラシティ大ホールも、正月飾りなどがついてニューイヤーコンサートのような華やかな雰囲気がありました。
■ドイツで活躍中の阪さんと、チェロの巨匠 堤さん
今回の指揮者は客演の阪哲朗さん、独奏チェロに堤剛さん。
客演指揮の阪さんは、ドイツや京都を中心に活躍をされています。
すらっとした体躯から表現される、軽やかで華麗な指揮に定評があります。
わたしが大学4年のオーケストラ定期演奏会で、ブラームスの交響曲2番を演った時の指揮が阪さん。
「懐かしい阪さんの指揮が、また見れる。」
当時を思い出しながら、今回の演奏会を心待ちにしていました。
堤さんは日本を代表するチェリストの巨匠で、桐朋学園大学学長やサントリーホール館長など、文化芸術に関する重要なポストを務めてこられた方です。
演奏するのは名曲中の名曲、ドヴォルザークのチェロ協奏曲。
わたしも大好きな曲で、ベテランの堤さんの演奏に期待が高まります。
■第90回オペラシティ定期 プログラム
ドヴォルザーク/チェロ協奏曲*
ベートーヴェン/交響曲第7番
指揮: 阪 哲郎
*チェロ独奏: 堤 剛
・ドヴォルザーク/チェロ協奏曲
ドヴォルザークの『チェロ協奏曲』、通称『ドボコン』。
チェリストのレパートリーとしてはNo1といっていいくらいにメジャーな曲です。
『弦楽四重奏12番 アメリカ』『交響曲9番 新世界より』など、 秀作の多いアメリカ時代の作品です。
ドヴォルザークらしいボヘミアや黒人たちの影響を受けた聴きやすいメロディ。
協奏曲らしからぬ、木管楽器とソリストとの掛け合いやハーモニーが印象的な曲で、協奏曲の中でもとても聴きやすい部類に入ると思います。
御歳72歳の堤さんが弾くドボコンは、とても渋くて深みのある演奏でした。
技巧的に優れる若手の演奏とはまた違う、なんとも言えない音楽の奥深さを、その音色や息遣いから感じることができるのです。
特に緩徐楽章の2楽章の聴き心地は最高で、堤さんならではの甘い歌を聴かせていただきました。
アンコールは、今回の定期で退団される東フィルチェロ奏者の黒川さんのために、カザルス作『鳥の歌』を弾かれました。
ステージ後、堤さんも黒川さんも涙ぐんでいらっしゃったそうで、改めて音楽の素晴らしさを感じた一幕でした。
・ベートーヴェン/交響曲第7番
ベートーヴェンの『交響曲第7番』は、少し前に『のだめ』のテーマ曲として有名になったのをきっかけに、地味な印象から急に人気曲のひとつになりました。
意欲的な作品『5番 運命』『6番 田園』に続くこの曲は、リズムを重視しつつ古典様式への回帰を目指した作品。
この曲の持つ軽快で華やかなのイメージは、指揮者の阪さんの印象とよくマッチしていてとても合っていると感じました。
阪さんのオーケストラへの繊細な気遣いと、華麗なタクトさばきはとても洗練されていて、見ていて気持ちのいいものでした。
指揮者の動きや表現も、オーケストラ演奏会の醍醐味の1つですね。
「これは間違いない」と思いながら、ノリノリで楽しんだ第2部でした。
今月も素晴らしい演奏を聴かせてもらえて幸せでした。
■ついに来年の定期プログラムも発表
先日、定期会員のわたしのところへ、来年の定期プログラムの一覧が届きました。
まさかのチケット実質値上げにショックを受けながらも(泣)、来年のプログラムの楽しみを胸に、定期会員継続を決めたのでした。
来年のイチオシは、首席客演指揮者に就任するアンドレア・バッティストー二!
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