みなさんは、電子楽譜端末ってご存知でしょうか。
知らないですよね、だってまだ世に出ていない物だから。(2015年1月時点)
実は、世界初の「電子楽譜端末」の試作品を触らせてもらう機会があったので、ご紹介したいと思います。
※ブログに書く許可をいただいています。
なぜわざわざ楽譜を電子化するのか?
演奏家はいつもたくさんの楽譜を持ち歩いていて、ピアニストや指揮者にもなるとその重さは何キロにもなります。
オーケストラには弾き方をあわせるために「楽譜の書き込みを写す」という仕事があったりします。
まだまだ音楽の世界は、アナログなところも多いのです。
電子化をすれば、それらのいくつかの問題が解決されるのではと。
ほかにも電子化による様々なメリットを、楽譜を扱う人たちも享受できないのか?
紙から電子への流れは、企業などでは一般的ですが、楽譜にはまだその流れはありません。
そこに着目して商品化を進めたのが発案者の渋谷さんでした。
楽譜表示端末「SONO」をさわってみた!
楽譜表示端末の開発をしていた渋谷さんが、わたしが以前書いた「「電子楽譜」の課題を考えてみた」という記事を見て、連絡を下さったのが始まりでした。
現在端末は、商品化に向けて演奏家の試用と改良を重ねているところ。
わたしはITにも音楽にも通じているということで、ぜひ一度見てほしいとお誘いいただいたのでした。
そして先日、ついに直接電子楽譜端末の試作機を触る機会をいただくことができました。
電子楽譜端末「SONO(試作機)」、見た目はとても試作機っぽい。
この端末は13インチほどのアンドロイドタブレットをベースに、独自のアプリを搭載して
「紙の楽譜と同じように使える」
をコンセプトに作ってあります。
通常のタブレットでPDFを表示させる場合と大きく違うのは2つの画面が連動して動くところです。
連動する2画面
iPadなどでも紙の代わりとしてPDFを表示することは可能です。
しかし、演奏者は普通楽譜を見開きで見ているので、片面では少し違和感があるのです。
開発者が楽譜用の端末としてヒアリングした結果、この「2画面見開き」という要件は外せなかったそうです。
かといって1台の大きな(20インチクラスの)タブレットは、持ち運びも大変で、かなり不便になってしまいます。
結果、2台のAndroidタブレットを連動させるというアプリ(特許取得済み)を開発することでその機能を実現、この端末の大きな特徴になっています。
この連動機能、片方の画面をスワイプすると「譜めくり」ができるのですが、2つの画面がちゃんと連動して動きます。
仮に片側のアプリが落ちたり固まったりしても、もう1方の画面は継続して単ページの表示が可能なので、万一の時も安心です。
アノテーション機能
演奏者は、楽譜に鉛筆で書き込みをします。
書き込む内容は、注意するポイントだったり、独自のフレージングだったり様々。
これを実現させるためにPDFに書き込みをする機能が搭載されています。
PDFビューワーでも書き込み機能があるものは多いですが、SONOは書き込んだものを出力したり共有できるように、PDFを保存する機能があります。
有線フットペダル
紙の楽譜にはない機能として、「フットペダルで譜めくり」機能が搭載される予定とのこと。
長いフレーズやページの関係で、譜面をめくるタイミングが取りにくい楽譜もたくさんあるのですが、フットペダルでめくれるようになれば、面倒な切り貼り作業も不要になります。
好きなタイミングで、手を使わずにめくれるのは、とても便利だと思います。
今後の課題と期待
ITと音楽を結ぶ新しい流れとして、とても興味深いアイデアで、今後もチェックしていきたいと思いました。
現在のところは「紙と同じように使えること」に重点を置いて開発を進めているため、電子化による革新的な機能がないのも正直な意見としてあげさせていただきました。
ほかにも、やはりスタートの商品なのでいくつか課題も見られました。
・重さ・・・13インチのタブレットなので、重い。片方でMacbookAirくらいあるので、2台分だと結構大変。
・サイズ・・・A4見開きで見れるのはOK。本体の厚みがあるので持ち運びにくい。
・安定性・・・本番に使うならアプリやOSの安定性はなによりも大切です。それほど不安定な感じはありませんでしたが、維持していただきたい。
これらは今後の開発進行に期待ですね!
今後要注目の「電子楽譜端末」。
Facebookページでは、積極的に情報発信をされています。
もし興味がありましたら、直接開発元へお問い合わせください。
もしくは、わたしにご連絡いただければ、お取次ぎもできます。
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