イタリアのローマ歌劇場で、オーケストラと合唱メンバー全員解雇のニュースがありました。
財政難のイタリア政府からの助成金が減少したからとのこと。
1880年から続く名門歌劇場に、危機が迫っています。
イタリアを代表するオペラ座の一つ、ローマ歌劇場がオーケストラと合唱団のメンバーすべてを解雇すると発表し、財政難に苦しむイタリア政府からの助成金の減少が背景にあるとみられています。
イタリアのメディアは3日、ミラノのスカラ座などと並んでイタリアを代表するオペラ座のローマ歌劇場が、スタッフの4割に当たるオーケストラと合唱団のメンバー182人すべてをことしいっぱいで解雇することになったと伝えました。
背景には、運営を支えてきたイタリア政府からの助成金の減少があるとみられ、ローマ歌劇場は「苦しい決断だが、歌劇場の存続のためやむをえない措置だ」としています。
イタリア政府は財政難からオペラ座への助成金の削減を続けていて、去年は総額1億6300万ユーロと前の年に比べて1割減らし、各オペラ座に収益を上げるための策を独自に講じるよう求めています。
しかし、ローマ歌劇場ではスタッフらのストライキが相次ぎ、こうした策のめどが立っておらず、終身名誉指揮者を務めていた世界的に有名なリッカルド・ムーティ氏が音楽活動に支障が出ているとして先月、辞任しました。
ローマ歌劇場は今後、オーケストラの演奏や合唱は外部に委託するとしていますが、演目の変更やキャンセルは避けられないという見方が広がっています。NHK News
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141004/k10015114101000.html
最近ヨーロッパで財政危機のニュースが珍しくありませんが、イタリアもそのひとつです。
ギリシャ、スペインの余波もありますが、イタリア自身も債務残高の多さから注目を浴びています。
財政再建の動きが活発化していると思われますが、そんなときに挙げられやすいのが芸術分野です。
■芸術が切り捨てられてしまう理由
芸術団体や文化施設などは、生活を豊かにするためのもの。
より豊かな生活を営んでいくために、世界中の国や自治体で芸術・文化団体の支援を行っています。
しかし、文化や芸術は生きていくためには必須でないので、財政危機や社会情勢によって切り捨てられやすいものと言われています。
そのような局面においては、衣食住や社会保障などの生命維持活動に必要なものが優先されやすいのは、しかたのないことです。
日本でも、2011年に大阪府から独立した日本センチュリー交響楽団(旧、大阪センチュリー交響楽団)も、助成金のカットがきっかけになりました。
特定の大きなスポンサーがあるNHK交響楽団や読売日本交響楽団以外のオーケストラは、経済的に苦戦が続いているとも言われています。
このようなニュースは、わたしたちにも身近な問題なのです。
■収入の分散を考える
政府や自治体、特定の支援団体など、1つの収入源に頼る運営をすると、支援側の事情によって一方的に窮地に立たされる場合があります。
運営側は複数の収入源を持つなどのリスク分散を常に考えておかなければいけません。
ビジネスの経営手法としては一般的な考えですが、芸術・文化団体もそうならなければ生き残れない、今はそんな時代なのです。
団体だけでなく、それに所属する個人、今回の場合は演奏家たちもそのことを十分に理解しておく必要があります。
所属する団体の経営状況、運営はどのように行っているのか、その団体がもしダメになった時の収入源などは常に考えておかなければいけないということです。
現代は大きな会社や国家であっても、瞬く間に経営が悪化し、財政危機に陥ることがあります。
公務員やサラリーマンであっても、もしものときのことを常に考えなければいけないような時代です。
所属する団体に依存するのではなく、個人として何ができるか、何を目指すかを考え続けることが大切です。
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