フランスで音楽を学んだ若い演奏家たちによる室内楽の演奏会、『”Les caprices des vents”気まぐれな6人のアンサンブル』を聴いてきました。
今回はメンバーの一人で国立音楽大学の後輩である、木主里絵さんから演奏会のお誘いをいただきました。
下の写真は終演後に撮ったもので、木主里絵さんと、彼女の同級生でクラリネット奏者の櫻田はるかさん。
ふたりとも、わたしが大学卒業して以来(たぶん)会っていなかったので、とても懐かしい再会で嬉しかったです。
みんなが活躍している姿を見ると、たくさん刺激をもらって元気になりますね!
■『Les caprices des vents』 プログラム
木主里絵(クラリネット)/村瀬徹(ファゴット)/松嶋千恵(ホルン)
有本紘子(ピアノ)/早乙女潤(オーボエ)/知久翔(フルート)
ハイドン/ディヴェルティメント
サン=サーンス/カプリス
プーランク/六重奏曲
フランセ/四重奏曲
ラヴェル/マ・メール・ロワ
■演奏会の感想など
若く勢い溢れる表現、留学で磨かれた演奏技術の高さと雰囲気のよさを存分に楽しめた演奏会でした。
特に印象に残ったのはプーランクの六重奏と、マ・メール・ロワ。
有名なのでわたし自身も聴き慣れているから、というのが印象に残った理由だと思います。
プーランクの六重奏は、管楽器奏者にとっては超有名なレパートリーのひとつ。
それだけに各演奏者が生き生きとして、プーランクの軽快でユーモア溢れる音楽が表現されていました。
ラヴェルのマメールロワは原曲はピアノ曲ですが、オーケストラをはじめ様々なものに編曲されています。
今回のはフランスの有名なオーボエ奏者ワルターの編曲の木管五重奏+ピアノの六重奏。
このワルターの編曲、5月に聴いた木管五重奏の演奏会でも感動しましたが、今回の『マ・メール・ロワ』もとてもよい作品で驚きました。
ピッコロ/フルート、クラリネットB/A管、オーボエ/コールアングレなども駆使していて、難易度もかなり高そうですが、その分演奏効果は非常に高く、多彩で鮮やかなオーケストラの響きを感じることができます。
編曲のよさも手伝ってか、冒頭からすぐに曲に引き込まれるほどに心地よいものでした。
■演奏に重要な「空気感」
演奏会全体を通してのアンサンブル、響きの一体感が素晴らしく、さすが同じフランスの空気を知っている仲間だなーと感心しました。
一般的に「音楽に国境はない」といいますが、言語ほど違わないにしても、音楽にはその国独特の空気感(ニュアンス)があります。
フランスの作曲家はフランス語で、ドイツの作曲家はドイツ語で会話をし、それぞれの国の言語で思考しながら曲を書きます。
演奏者は同じ楽譜、同じ音符、同じ表現をしようとしているはずですが、演奏者自身が生まれ育った国の文化や言語が、音楽の解釈に影響を与えます。
今回はみなさん日本人ですが、全員がフランスに留学していて、フランスの空気を吸い、パリの街を歩き、フランス人の音楽に直接触れています。
その「空気」を知っているのと、知っていないのでは楽譜では表現できない空気感が違います。
同じ音を吹いても、イメージが違うので、出てくる音が違うのです。
この日本人にはないおしゃれな空気感を知る彼らの、今後の活躍が楽しみです。
■今後は演奏以外もがんばってほしい
「若さ溢れる」と書きましたが、今回唯一気になったのは、若さゆえのMCのグダグダ感。
思わず吹き出してしまった場面もありましたが、演奏のクオリティの高さとのギャップが激しすぎて、少し残念に感じました。
今後プロを目指す彼らなら、ステージに登場して退場するまで、楽曲・楽章間の仕草、MC、全てにおいてのクオリティを高くしていく必要があります。
プロとして活躍する人のステージを隅から隅まで観察して、どんなところに気をつけているのかなども追求してほしいなぁと思いました。
彼らにとても高い可能性を感じるからこそ、今後の期待を込めて、あえて残念ポイントを書かせていただきました。
ぜひ、がんばっていただきたいです。
今回の演奏会は日仏文化協会の協賛で、日仏文化協会内の汐留ホールで行われました。
フランスへの音楽留学の支援も積極的にされていて、たびたび演奏会も開催されているようです。
興味のある方はWebサイトにアクセスしてみてください。
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