いままさに、関東地方に台風が来ようとしています。
各地で重大な被害を出している台風ですが、一方で台風が来ると安心してしまう人たちがいます。
今日のお昼すぎ頃、父からメールが届きました。
「今日、早明浦ダムの貯水率が90%まで回復した。
他の地域では被害も出ているが、香川にとっては恵みの雨。
これでしばらくは安心!」
そうか、わたしの地元ってそういうところだった、ということを思い出しました。
水不足と言えば香川県
わたしの地元、香川県は大昔から水不足に悩まされ続けていた県です。
地形的に南は四国山脈、北は中国山脈に挟まれています。
南北の山で雨が降ってしまうため年間降雨量が少ないうえに、大きな川もなくて水不足に陥りやすい土地柄なのです。
空海が改修したことで知られている、日本最大の農業用ため池「満濃池」ができたのは1300年ほど前。
当時から水不足は深刻な問題だったことが伺えます。
現在の香川の水源は香川用水という用水路です。
全体的にこの用水路に対する依存度が高く、この水源に100%頼る自治体もあるほどです。
その香川用水は、徳島にある吉野川からひいてきています。
その吉野川の上流にあるのは、高知にある早明浦ダムです。
つまり、「早明浦ダムの貯水率=香川の生命線」という図式になります。
香川以外の3県はそれほど深刻な水不足には陥りにくいので、実質は「香川の水がめ」といっても過言ではありません。
蛇口から水が出ない
1994年には、梅雨時期にも雨がふらず、大規模な水不足が発生しました。
その時、竣工以来初めて早明浦ダムの貯水率は0%になって、本当に蛇口をひねっても水が出ないという状況になりました。(100%香川用水依存でない自治体は出るところもあった)
わたしは当時中学生で、学校に行きながら大変な思いをしたのを覚えています。
それ以来、数年ごとに給水制限がかかるような水不足になっていると思います。
水不足が懸念されるたびに、ニュースや人々の話題は「早明浦ダムの貯水率」で持ちきりになりました。
地方新聞の一面には、「早明浦ダムの貯水率」が掲載されているほどです。
香川県民で早明浦ダムの存在を知らない人はおそらくいないでしょう。
台風は「恵みの雨」
梅雨に入りながらも降雨量が少なく、早明浦ダムの貯水率が50%近くなってくると、香川県民は不安になってしまいます。
「またあのときのような水不足になるのでは?」と。
そこでやってくるのが台風です。
そこそこ大きい台風が高知付近(香川ではないことに注意)を通過すると、一気に数十%も貯水率が回復します。
今回も、60%から一気に90%まで復活したそうです。
香川県民は、大きい台風が来ると、「今年の夏は大丈夫だ」と安心できるのです。
自然に任せるしかないのはなかなか厳しいところですが、水不足の抜本的な対策はまだなされていないようです。
※7/9~10の降雨と水位。早明浦ダムなびからいただきました。
水不足になるけど、うどんはやめられません
「香川県は、うどんを作りすぎるから水不足になっている」と言われることもあります。笑
これはさすがにネタですが、実際に大量に水を使いますから、渇水時にはうどん屋さんもお店を閉めてしまうこともあります。
また、香川は各地に農業用ため池があって、稲作が盛んです。
しかし、稲作よりも小麦を作ったほうが水不足の影響が少ないということも言えると思います。
外国産の小麦に頼っているさぬきうどんですが、地元で作った小麦はまだまだ少ないので、そういった試みも面白いのでは。
今後も、地元香川の水不足対策と、農業と、うどんには目が離せません!