ブックレビュー◆三枝成彰『名曲の履歴書』

今日はブックレビューをお届けします。

ここ最近Facebookで、平日の朝の通勤時間を利用して、クラシックの曲を聴きながら簡単な曲解説を書くということをやっていました。

音楽に関するインプットとアウトプットを同時にやることになるので結構記憶にも残りますし、とても勉強になります。

その選曲の元になっていたのが、この三枝成彰さん『名曲の履歴書』でした。

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今の自分は音楽に携わろうとしているのに、音楽の仕事をしているわけではないし、今の家では演奏することも難しいので積極的な演奏活動もできない。

今できることは何だろう?と考えたときに選んだのが「学習欲」を発揮するということでした。

音楽大学を出ていても、自分の楽器と関連性のあった曲や学生生活で出会った曲しか知らなかったし、当時は演奏技術ばかりを気にして、歴史を学んだり楽曲の分析をしたりすることをほとんどしてませんでした。

音楽大学を出ているのにこんなに恥ずかしいことはないと思った私は、せめて「名曲」と呼ばれて一般的によく聴かれている曲くらいは知っておくべきだと思ったのです。

三枝成彰さんはテレビやメディアでも活躍されていて私も知っていたので、興味を持ってこの本を買ってみました。

決め手はサブタイトルの「クラシック再入門」!笑

 

■語りかけるような読みやすい文章

三枝さんのわかりやすい文章が特徴的で、いわゆる「音楽評論的」な本に比べると圧倒的に読みやすいです。

クラシックに興味がある初心者の方などにはとてもオススメできます。

それでいてカバーしている曲の範囲が交響曲、協奏曲、室内楽、ピアノソロ、声楽曲、宗教曲など多岐にわたっていて、私は曲名すら知らなかった(でも名曲!)ものもありました。

本は年代に沿って作曲者の紹介がされていて、本の進行に合わせて楽曲も聴いて行くことで、作曲者のエピソードや交友関係などを加味しながら曲を楽しみ理解を深めていくことができます。

たとえば、ブラームスはベートーヴェンに強く影響を受けますが、読み進めるとドヴォルザークはブラームスに支援を受けたことがわかります。

ブラームスの『ハンガリー舞曲』のヒットで勢いづいた出版社が、ドヴォルザークに『スラブ舞曲』を作らせたなど、エピソードの相関関係を知っていくとさらに音楽の世界がおもしろくなっていくのがわかります。

 

■名曲を聴いてみよう!

作曲家ごとに代表的な曲を5曲ほど紹介していて、短い楽曲説明付き。

聴きやすさ、知名度、泣ける度が3段階評価でついていて、その楽曲が一般にどのような評価を受けているのかを知ることができます。

さらに、著者オススメの名盤CD紹介もされていて、同じ曲でも多数の演奏家が音源を出しているクラシック音楽では、よい指針になります。

とはいえすべてのCDを買うのも大変なので、同じ音源でなくても、Youtubeで検索をすれば大抵の曲は出てきます。

作曲家のエピソードや楽曲解説を読みながら、実際に曲を聴いてみることを強くお勧めします。

初心者の方でもベートーヴェンの第九を聴いたら、次は1番から順番に聴いてみようとか、シューベルトの歌曲を色々聴いてみるとか、これをきっかけにして広がりも出てくると思います。

 

■まとめ ~名曲と呼ばれるからには理由がある

クラシック音楽は比較的古い曲が多く、百年以上も「名曲」として演奏され続けているものがあります。

それはたくさんの人々に愛され続けているからこそ演奏されているということで、まぎれもなく名曲であると言えると思います。

そんな曲がまだまだたくさんあると思うと、ワクワクしてきます。

クラシックにあまり慣れていない人は、このような本をきっかけにして、少しずつ仲良くなっていっていただければ嬉しいです。

そして、気に入った曲があれば、ぜひ、コンサートに出かけてみてください。

生音は、CDやiPhoneで聴く音とはまったく違う世界のものです。

クラシック音楽が、もっとたくさんの人に愛されるようになって欲しいですね!

 

 

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