私は大学卒業後、一年間フリー奏者をしたのちに、一般企業に就職をしました。
当時は音楽を続けることができなかった後ろめたさから、音楽に背を向けてしまい、ほとんどクラシックを音楽を聴かなかった時期がありました。
今改めて音楽にのめり込んで行くようになって、気づいたことがありました。
■音楽を「仕事」として捉え始めていた学生時代
高校や大学の頃は、常にある程度の音楽のアウトプットを求められるため、目の前のことに囚われてしまっていたと思います。
自身から出てくる興味やより、目標に追われる感覚の方が先にきていました。
「練習をしなければいけない」
その先に明確な目標を持っていなかったため、いつしか音楽は
「こなさなければならない苦しいもの」
になっていたのです。
■好意的に聴けなかった演奏会
自分が長く演奏に関わっていたせいか、演奏会に行くと粗探しをしてしまうような耳になってしまっていました。
さらに、自分が演奏側で無いことに苛立ちを感じてしまいました。
それでも「自分はもうやめた人間だから」と、そこにもう一度情熱を注ぐことがなかなかできませんでした。
楽器も、いずれやりたくなったら…と思っていたけれど、何年もそれがなかったのです。
■改めて音楽を好きになってみて
その後、「自分自身の人生から音楽は外せないもの」ということを再確認する出来事がありました。
ちょうどよいタイミングで地元の吹奏楽で演奏者として復帰、以前よりは純粋に音楽を楽しむことができるようになっていました。
その後、東京に来てからは聴くことが中心になっていますが、今まで自分が自己成長の指針として来た学習・収集・内省などの能力を音楽に転用することができないかと思って試してみるようになりました。
ずいぶんと遅いスタートになりましたが、今まで勉強してこなかった分、浴びるように音楽を聴いたり、知識として作曲者やその歴史に触れようとしています。
「音楽に携わる人間として、自分自身が一番音楽を愛しているくらいじゃないと、人々に感動を伝えることはできない」
そんな思いで、改めてわだかまりの無い素の自分で音楽と向き合ってみると、素直に音楽に感動できるようになりました。
今は楽器で演奏、表現したいと思うようにもなりつつあります。
「なぜ音楽をするのか?」
という問いを改めて考えてみると、学生の頃はやはり不安が先に来てしまっていて、楽しめなくなっていったのかなと思いました。
音楽と仲直りできてよかった。
今はこの想いを、たくさんの人に伝えていくことが、私の仕事だと思っています。
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