芸術文化(ここでは主に音楽を取り上げますが)というのは、何かと国(政府)や自治体と関係していて、一般企業や団体よりもその依存度が高い傾向がみられることが多いと考えています。
そもそも芸術文化は教育や世界平和などにも通じるとされ、健全な発展を望まれるとともに、社会的に保護していく必要があるという考え方があります。
国が保護していく方針とした教育や文化、研究機関などは税金を優遇したり資金援助をするなどして支援を受けることができます。
国からの援助を受けることができるのはとてもありがたい事ですし、活用すべきだと思いますが、依存のし過ぎはリスクを伴うことも理解しておくべきだと考えています。
■音楽界で衝撃が走った大阪センチュリー交響楽団への補助金カット
記憶にあたらしい出来事といえば、大阪センチュリー交響楽団の補助金全カットに伴う、存続の危機があります。
当時の橋下大阪府知事が2008年に発表した補助金の大幅削減を発端として、4.5億円ほどあった補助金が2010年では1.1億まで削減され、2011年からは補助金が0になりました。
もともと7億円ほどの予算で活動していたと言われていますので、その6~7割を補助金でまかなっていたことになります。
業界関係者や演奏家などから10万を超える書名を集めたものの、補助金はそのまま打ち切りになってしまい、大阪府からの独立を余儀なくされました。
楽団名も「日本センチュリー交響楽団」に変更され、現在も精力的に活動を続けていらっしゃいます。
このように、資金的にある1箇所に対しての依存度が高い場合、一歩間違えれば解散の危機が起こるかもしれない、ということです。
都市名がつくようなオーケストラは、地方自治体の支援を中心に資金繰りをしているところが多く、このような形態をとっている団体は、常に自治体の運営に対してリスクを伴っているということが言えます。
地方に根ざした活動を通じて、(言い方は悪いですが)自治体にアピールをするのもとても大事な営業活動ですが、それに甘んじることなく主催公演についても内容を充実させ、観客を増やすなどの増収を図ることは、常に考えていかなければならない課題です。
■芸術文化は守られるが、人は必ずしも守られない
何事もお金がなければ続けることが難しい世の中ですから、個人としても、団体としても、その活動の資金や収入がどういう構造になっているのかに興味を持っていただきたいと思います。
芸術文化に携わるということは、直接的にも間接的にも公的機関からの援助を受けることが多く、報酬として受け取るお金も元を正せば税金だったりもします。
公的機関から援助を受けているということは、政府や自治体の方針が変わってしまえば、それがゼロになってしまうということも十分に考えられるということです。
そのリスクを正しく理解して、税金や政府の仕組みにも興味を持っていただきたいと思います。
それは政府に振り回されないよう、自立していくことにもつながっていくと思っています。
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