7月に行われたツール・ド・フランス、そして東京五輪で盛り上がった自転車界。
僕もTDFは中継をフル観戦し、五輪は幸運にも会場で観戦することができました。
五輪が終わった後もモチベーションが高く、ロードバイクで出走する機会も増えている今日この頃です。
そんな感じで都内を走っていて、改めて「走りにくいし危険が多い」と思ったんです。
その原因を考察してみました。

自転車のマナーが悪いのはなぜか
まず、自転車に乗っている人のマナーがよくないこと。
自分が趣味として自転車に乗っているからよく目につく、ということはありますが、それを考慮したとしても、ルール違反をしている人は少なくありません。
サイクルウェアを着てロードバイクを乗っているような人は比較的ルールを守る傾向にありますが、こういう人はかなり少数派なので。
見ていて気になるのはそれ以外の普通の人々です。(=普段着で自転車に乗っている人)
特に多く感じるのは信号無視や無理な道路横断です。
後ろから見ていて危険だなぁと感じることも多い。
これは自分を「車両」ではなく、「歩行者の延長」だと認識していることからやってしまうことだと推測できます。
道路交通法上、自転車は軽車両の扱いなので、歩道と車道が分かれている場合は、原則として車道を走らなければなりません。
歩道の走行は例外として認められているだけなんですね。
当然、従う交通ルールも信号も、車両としてのものになります。
しかし、信号に従って停車している後ろから、信号を無視してすり抜けていく自転車の多いこと。
「歩行者や車が来てないから渡っていい」というのは、まさに歩行者側の感覚ですよね。

これは多くの人に「ルールと認識にギャップが発生している」ということです。
自転車に乗っている側にも、自動車側にも、双方に自転車の交通ルールが浸透していないんです。
どうしてこんな状況になっているのか。
「自転車は歩道を走るもの」という感覚の正体
日本は、1960年頃の高度成長期の時代に車が爆発的に増えました。
その頃は「これからは車の時代だ」と、車優先で道路をガンガン作っていったそうです。
首都高が開通し始めるのもこの時期です。
1970年頃になると、車が増加しすぎたせいで交通事故が多発。
その対策の一環で道路交通法が改正され、自転車が歩道を走行する例外が認められたそうです。
その結果、自転車は歩道に追いやられてしまったということです。

人々に浸透した文化はそうかんたんに変わりませんから、後から自転車向けのルールや標識を追加しても、浸透させるのはとても時間がかかります。
加えて自転車には免許制度がないため、ルールを学び直したりアップデートする機会が少ないことも、この傾向を強めているのではないでしょうか。
僕自身、2016年頃から趣味で自転車に乗るようになり、改めて自転車としての交通ルールを学びなおしました。
そんなことでもない限りは、改めて自転車の交通ルールを意識する機会はないと思います。
警察による取締や指導も行われているようですが、対処療法なのでルールを浸透させる役割は薄いでしょう。
日本の車道は自転車で走りにくい
また、道が狭く交通量の多い都内は、自転車で走りにくいことにも不満を感じてしまいます。
もともと道幅が狭い上に、車が大きくなっているのもありますが、そもそも自転車が走るような車道になっていません。
複雑な交差点で走行を促すための、自転車専用の信号機もほとんど見かけません。
これらの原因も車優先の都市開発をした結果でしょう。
一度作ったものをあとから変えるのはなかなか難しいのです。
そんな道路なので、自転車は肩身の狭い思いをしながら走ることになります。
自転車は基本的に道路の左側を走りますが、幅寄せや割り込みを受けることがよくあります。
路線バスや路上駐車が多いので、頻繁に進路変更しなければなりません。

タクシーは横断歩道付近などでも強引に止まったりしますから、歩道でタクシーを止めようとしている人を含めて注意が必要です。
こうした要因が多いということは、事故の危険性も多いということです。

都内交通事故の4割に自転車が関与
自転車事故について調べてみると、ここ数年で都内の自転車事故が増加していることがわかりました。
都内事故の全件数は減少傾向なのに、自転車事故の件数は増加しているため、結果として自転車が関与した事故の割合が増えているようです。
その割合はなんと40%超。

東京都では2017年ころから自転車活用を推進する政策が取られていて、自転車用のナビマークが街中に増えて行ったのもこの時期です。

この頃から、自転車事故の件数が増えています。

2020年に限っては、コロナ禍による交通量の減少で、交通事故の全件が大きく下がっているのに対して、自転車事故の件数はそこまで減っていないということで、割合が上がっています。

都政が自転車活用を推進していたところに、コロナ禍による運動不足解消やデリバリーサービス利用が増加したことで、自転車の利用は以前よりもかなり増えていると推測されます。
しかし、ハードウェアとしての道路の整備、ソフトウェアとしてのルールの浸透が十分でないために、事故という結果になっているのではないでしょうか。
まとめ
自転車で街中を走っていると、危険やストレスを感じることが多いということを書いて来ましたが、自転車そのものは爽快で健康的な乗り物です。
密にもなりにくいですし、環境にもよいということで、今後は更に活用が推奨されていくと思います。
道路やルールの改変は国や自治体に任せる部分が大きいですが、個人でもルールを確認したり安全について考えることはできます。
この記事が、そのきっかけになれば幸いです。
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