パソコンを構成する部品を自分で選んで組み立てたもの、
それが「自作パソコン」です。(対義語は「メーカー製パソコン」)
かつては「パソコンは自作すると安上がり」という時代もありましたが、
最近はそうでもありません。
MacやSurfaceなどのプレミアム系パソコンでなければ、
数万円で必要十分なものが買える時代になっています。
それどころか「そもそも家にパソコンがない」という人も多くなってきたのではないでしょうか。
普段ネットを見たり、メールやメッセージを送ったりするくらいなら、
僕もほとんどiPhoneでやってしまいます。
でも今回、5年ぶりに新規のパソコンを自作することにしました。
なぜ、わざわざデスクトップパソコンを自作したのか。
どんなパソコンを作ったのか?
この記事では、自作歴19年の僕が今パソコンを自作をする理由と、
今回製作した自作パソコン各パーツの選定理由をご紹介していきます。
なぜ、いま自作パソコンなのか?
最近はスマホで写真編集もやりやすくなり、普段はほとんどiPhone上で処理をするようになってきました。
しかし、一眼カメラなどで撮った写真や映像を編集したり管理するときには、パソコンの必要性を感じています。
大量の画像を処理・管理するなら、やはりパソコンがあったほうが便利なんですよね。
で、どうせパソコンを使うなら、できれば高パフォーマンスなものが使いたいじゃないですか。
Macの高性能なモデルも魅力的ですが、
いかんせん高額になりがちですし、HDDを何台も積めるようなカスタマイズ性もありません。
その点、自作Windows機は汎用性と拡張性が高いのがポイントです。
- 高速な処理が必要であれば、高速なCPUを選ぶことができます。
- ストレージをたくさん積みたければ、ストレージ搭載量の多いケースを選ぶことができます。
- メモリが足りなければ、あとから追加することができます。
- GPUが必要になれば、あとから追加することができます。
このように、自分好みのスペックで自由に仕上げることができるので、
パソコンの可能性を最大限に広げることが可能なんです。
特に画像や映像処理など、クリエイティブな用途には、
自作パソコンはよい選択肢だと考えています。
ちなみに「メーカー製Windowsパソコン」という選択肢はないのか?
と思う方もいらっしゃると思います。
現在の市場を見ると、
メーカー製パソコンにハイスペックなCPUを搭載するものはありません。
あったとしても、メーカー直販のようなものがほとんどです。
ハイパフォーマンスPCはユーザーが限定されるので、量販店のようなところには流通しないのかもしれませんね。
ハイスペックなパーツを使ったPCが作れるのも、自作PCの醍醐味と言えるでしょう。
今回製作したパソコン各パーツの選定理由を紹介!
ここからは、今回製作したパソコンと、
搭載した各パーツの選定理由を紹介していきましょう。
まず全体的なコンセプトは、
「画像・映像処理用ハイパフォーマンスPC」です。
最低限求める性能は、Adobe LightroomやPhotoshopがストレスなくサクサク動くことです。
映像処理もそこそこやりたいので、エンコード処理が高速であることも条件です。
また、今回は5年ぶりの新規自作ということもあって、
どうせやるなら最新規格のもので作ろうと考えました。
新しいものを中心に組めば、
製品寿命も長いですし、アップグレードの余地もありますからね。
こうした観点から選ばれたパーツがこちらです。
- CPU Intel Core i7-8700K
- マザーボード ASUS TUF Z370-PLUS GAMING
- メモリ Corsair VENGEANCE 8GB×2 DDR4-2666
- SSD Intel SSD 760p M.2 PCIEx4 256GB
- ケース Fractal Design Define R5 White
- 電源 Corsair RM650x
- CPUクーラー サイズ 虎徹 Mark II
上記の構成で合計、約11万円でした。
最新のiPhoneよりぜんぜん安いですね!(笑)
規格や製品については新しいものを中心に、定番メーカーのものを選定しています。
特筆するような特徴のあるパーツこそありませんが、仕事でも使うマシンのため、
性能と安定性を重視した構成となっています。
ちなみにグラフィックボード(GPU)は、今回必須ではないので未搭載。
ゲームをガンガンやるわけでもなく、映像処理を補完させる程度の用途です。
(マイニング特需で市場が荒れている時期でした。)
また、HDDについてはこれまでNASで運用していた
3TB・4TBものを流用して搭載するため、割愛しています。
それでは、それぞれのパーツについて、選定理由を紹介していきましょう。
CPU Intel Core i7-8700K
CPUはパソコン全体の性能に強く影響するため、ここの選択は一番重要ですよ。
搭載されているCPUを見れば、
「このパソコンはどんな用途を想定されているのか?」がわかるほどですからね。
今回は、Adobeのソフトを使った画像・映像処理をすることを前提だったので、少しでもパフォーマンスの高いものを選びたかったんですよね。
最低でもi5、i7が手に入れば言うことなし、という感じで選んでいきました。
まず、最新の第8世代Coreプロセッサー(コードネーム:Coffee Lake)を使うと決めました。
第8世代のポイントは、なんといっても6コアに対応したこと。
長年Coreシリーズのコア数は4コアが最多でしたが、一気に1.5倍になりました。
マルチスレッド処理への効果に期待が高まるのはもちろん、「初の6コア」というのも自作ユーザーとしてはポイントが高いんですよね。
今自作をするのに、わざわざ古いプラットフォームを使うのはもったいないというものです。
次にモデルですが、コストパフォーマンス優先のCore i5-8400と、ハイエンドのCore i7-8700Kで迷いました。
Core i5-8400は、Coreプロセッサーとしては初めて、6コア6スレッドを採用したモデルです。
2万円ちょっとで物理6コアの処理能力が手に入るので、コストパフォーマンスでは最優。
普通の人ならこれで十分だと思います。
でもせっかく自作するなら、最強を目指したいじゃないですか・・・?
一方のCore i7-8700Kは、現状では一般向け最速モデルです。アマチュア最強的な。
Core i5-8400同様、6コアに対応したのはもちろん、ハイパースレッディングで12スレッド処理に対応しています。
12スレッドですよ、12スレッド。
もちろん性能は文句なし、多少発熱が多いことと、やや価格が高いことを除けば、言うことがありません。
そんなわけで当然、コストさえ何とかなれば、i7の方が欲しかったわけです。
「さて、差額の2万円をなんとか頑張ろうか」と思っていた矢先に、掘り出し物に遭遇しました。
某ショップで物色をしていると、
「Core i7-8700K+マザーボード(後述)の限定セット販売」のチラシが目に入りました。
それがなんと「CPUを買うとマザーボードがタダで付いてくる」くらいの価格設定。
驚きのあまり店員に確認をして、そのまま衝動買いしてしまいました。
結果的にCore i5+マザーボードと同じくらいの値段で、Core i7+マザーボードをゲットできて、とてもラッキーでした。
いやー、ネットばかりでなく、時にはショップを足で回ることも大切だなと、しみじみ思いましたね。
マザーボード ASUS TUF Z370-PLUS GAMING
CPUの項で登場した「おまけでついてきたマザーボード(笑)」がこいつです。
第8世代Coreプロセッサーは、対応チップセットがまだ最上位のIntel Z370しか、市場にありません。
メーカーとボードのサイズを決めれば、選択肢はかなり絞り込まれます。
ケースサイズはATXサイズを想定していましたし、Z370ならそこそこ機能も充実したものばかりということもあって、特にこだわりはなかったんですよね。
ASUS TUF Z370-PLUS GAMING。
マザーボードでは定番メーカーと言われるASUSにおける、ゲーミングボードのエントリー向けモデルです。
ゲーミングタイプとはいえ、エントリーモデルなので性能的な差はあまりなく、価格もノーマルタイプと数千円違う程度です。
安定性に定評のあるIntelチップのギガイーサが搭載されているのはポイント高いですね。(安物はRealtekチップが多い)
あと、M.2ドライブ用のヒートシンクが標準搭載なので、わざわざ買う必要がないのはありがたいです。
ASUSはこれまで何度も使ってきたお気に入りメーカーでした。
当初ゲーミングボードは候補に上がっていませんでしたが、性能に不満はないのでそのまま採用することにしました。
メモリ Corsair VENGEANCE DDR4-2666 8GB×2
マザーボードに対応したメモリはDDR4ですが、DDR4は周波数違いでいくつかの選択肢があります。
Intel CPUはメモリ速度の影響をあまり受けないと言われていますが、せっかくいいCPUを用意できたのですから、少しでも速く使いたいというものです。
今回はCPUのスペックに合わせて、DDR4-2666Hzのものを選びました。
2666Hzものでは、このCorsairのVENGEANCEシリーズが人気だったので、こちらを選択。
ヒートシンクもついているので、安心して使えますね。
次に容量ですが、2018年3月現在、メモリの価格がかなり上昇していて、正直8GBと16GBで迷いました。
最終的には予算の都合も付いたので最初から16GB搭載しましたが、メモリはあとでかんたんに追加できるので、予算によっては削ってもいいかもしれません。
個人的にメモリ容量は、以下のような感覚です。参考にどうぞ。
- 4GB・・・普段使いでも複数アプリやタブを立ち上げると、足りなくなることがある。できれば8GBほしい。
- 8GB・・・たいていの場合、8GBあれば足りる。
- 16GB・・・画像や映像処理をガンガンやるなら、16GBあると安心。
CORSAIR DDR4-2666MHz デスクトップPC用 メモリモジュール VENGEANCE LPX Series 8GB×2枚キット CMK16GX4M2A2666C16
SSD Intel SSD 760p M.2 PCIEx4 256GB
最新のプラットフォームを使うなら、M.2スロットのNVMeタイプのSSDを使わない手はありません。
これまでのSSDでも十分に速かったんですが、最近増えてきたさらに高速なSSDがこのM.2&NVMeです。
SATA接続のSSDは、インターフェースの限界速度まで達していたので、速度が頭打ち(約600MB/s)になっていました。
NVMeのSSDは、M.2スロットを使ってPCIEx4接続をするので、SATA以上の速度が出るようになっています。
僕も以前はSATAのものを使っていましたが、最近話題のM.2&NVMeタイプのSSDを試したかったので、こちらを採用しました。
(ただし、SATA SSDとの違いを体感できるような差はないと言われています)
選んだのはIntelの最新SSD「Intel SSD 760p M.2 PCIEx4 256GB」です。
出たばかりの製品でレビューもほとんどない状態でしたが、以前使っていたIntel SSDが好きだったので、これを選びました。
市場的にはSamsung製が人気があるようですが、個人的にあまり好みではないので・・・。
こうした「個人のこだわり」が反映されるのも自作パソコンの面白さだと思っています。
NVMeタイプのSSDはまだ少々高いので、容量は控えめの256GBにしました。
データはHDDに格納しますし、足りなくなれば変えればいいかなと思ってます。
M.2スロットは2基あるので、同時搭載でコピーできるかなと。
さて、メーカー公称シーケンシャルリード3210 MB/s(SATAの5倍!)の性能、楽しみです。
ケース Fractal Design Define R5 White
ケースは、大型で捨てるのも売るのも大変なので、なかなか変更できないパーツのひとつです。
どうしても選定が慎重になるパーツが、ケースなのです。
今回は最終的な2択で、かなり迷いました。
まず、メーカーはFractal Designと決めていました。
Fractal Designのケースは、過去2回使っていてかなり気に入っていたからです。
Fractal Design「Node 304」レビュー。PCのスペックを上げすぎて排熱が追いつかなくなったのでケースを変えたよ|Notes of Life
Fractal Design「Define Nano S」レビュー。拡張性抜群の頼もしいMini-ITXケース!|Notes of Life
シンプルかつ繊細なデザイン、重厚で堅牢な作り、そして真っ白いケースという理由で、定番のR5でほぼ確定。
と思いきや、購入を決める直前になって後継のR6がリリースされたのです!
こ、これは正直迷う!!
R5は自作ユーザーからの評価も高く、売れ筋の定番商品となっているため、情報が豊富で安心感もあります。
一方R6は、昨今の「魅せる自作」というトレンドを組んで、内装がなんだかかっこよくなっています。
そして新製品というのは、ブログ的にもオイシイ。
ぐぬぬ・・・
しばらく悩んだ挙句、「R6はフロントパネルが白くない」という理由でR5を選びました。
なんで正面だけガンメタなん!?意味わからんわ!(おこ)
なお、R6のホワイトモデルは2018年3月現在、販売が開始されていないようです。
「Define R5」は3年前の枯れたモデルですが、静穏性が高く、ストレージがたくさん積めるのが特徴です。
側面が透明パネルのモデルもありますが、見せる趣味はないし光ってなくてもいいので、実用重視でノーマルタイプを選択しました。
旧式とは言え、性能的には十分な力を持っているので、末永く活躍してくれると思います。
電源 Corsair RM650x
電源もケース同様、あまり変えることがないパーツなので、慎重に選びたいパーツだと考えています。
地味な存在ですが、システムの安定運用には欠かせないパーツですからね。
今回、電源の選定条件は以下の3点でした。
- 容量650Wクラス
- ケーブルがプラグイン式
- 静穏性が高いこと
この条件から、ネットで見ても評価がかなり高水準な、Corsair RMシリーズを選ぶことにしました。
ケーブルはフルプラグイン式で、必要のないケーブルは接続する必要がなく、ケース内をすっきりさせることができます。
電力効率が高いことを認定する「80plus」の中でも「80plus Gold(87%以上)」クラスの認定を受けているので、省エネ品質は折り紙付き。
すべてのコンデンサに日本メーカー製105℃コンデンサを採用、保証も10年と長く、信頼性の高さが伝わってきます。
さらに低負荷時にはファンが止まるなど、静粛性も定評があることから、早くから第1候補として挙がっていました。
第2候補は予算優先で、同じくCorsairの「CX650M」でした。
こちらはセミプラグイン式、80plus Bronzeで、5年保証。
RMより5000円ほど安いです。
価格コムでは人気ランク1位の、売れ筋モデルのようですが、この価格差ならRMのほうがオススメかな。
CPUクーラー サイズ 虎徹 Mark II
Core i7 8700Kは、CPUクーラーがついてこないので、自分で購入する必要があります。
特別こだわりもありませんが、これまで使ったことのある「虎徹」を選びました。
ケースが大きければ、よく冷えて安い、よいクーラーだと思います。
簡易水冷システムと迷いましたが、長期間運用することを考えるとどうしても水冷って不安なんですよね。
ほら、24時間稼働するサーバーって水冷使わないじゃないですか。
長期運用するものってやっぱり空冷(壊れるのが前提で)なのかな、という考えです。
組み立て後のファーストインプレッション
組み上がった実機のレビューは別記事にしたいと思いますが、全体的に高品質・高信頼性に仕上がったと思います。
(あれ、写真右下、なんか3.5インチシャドウベイの一番下が傾いてるぞ・・・ ⇒直しました。)
とりあえずこんな感じです。
- めっちゃ速い
- めっちゃ静か
- めっちゃマザボ光る
- めっちゃケース白い
ほぼイメージ通りの完璧な仕上がりでとても満足しています。
各パーツ妥協せずに選んでよかったな、と思います。
パーツひとつひとつにこだわりがある、これぞ「自作の醍醐味」ですね。
2018年は、第8世代CoreプロセッサやNVMe SSDなど、新しい規格の製品が盛り上がっていて面白いです。
マイニングで荒れているGPU市場も、そろそろnVidia新GPUのウワサもありますし、今年はトレンドが動きそうですね。
ニュースサイトや店舗で情報収集しながら、自作パソコンを楽しみましょう。
コメント