事故した時のことをスローモーションのように思い出せることをなんと名付けようか

「自転車で転倒して、骨折したんだって?」

「いやー、そうなんですよ。大変でした。」

僕は得意げに当時の状況を話し始めます。

「雨のレースで、コーナーの入り口にマットが敷いてあってですね…。一瞬ハンドルを取られたと思ったら、コントロールを失って、肩から落ちたんですよ。」

なんなら自分の体を使って「こんな風にね」と再現してみせます。

 

事故や怪我をしたときの様子って、スローモーションで記憶に残っているって言われたりしますよね。

一瞬の出来事のはずなのに、スローモーションどころか、三人称視点でも思い出せるほどです。

この現象って、一体何なんでしょうね。

本当にスローモーションで記憶しているのか?

ちょっと考えてみました。

これって、「脳内で再現VTRを作っている」だけなのではないかと思うんですよ。

自転車で起こったトラブルは一瞬のことで、ほんの1〜2秒の出来事です。

その1〜2秒のことを救護班に、家族に、友人に、医者に、何度となく説明する中で、

「ええと、どうだったっけ…」

と思い出しもするし、

「きっとこうだっただろう」

という仮定して内容を組み立てていきます。

人間の記憶というのは都合がいいもので、場合によっては脚色や改ざんがされている可能性もあります。

 

僕が自転車で転倒したときの姿勢はよくわかりませんが、怪我の状況(事実)から考えると僕は

  • 肩の背中側から落ちた
  • 頭と肩、肘を強く打った

ことがわかります。

自転車も傷ついた場所や、起き上がったときに目視した状況から

  • 自転車はレバーを下にして接地した
  • 壁には激突していない

と想像できます。

こうしたことを材料を組み合わせて

もっともらしい事故再現VTR

が脳内で作られていきます。

 

いつもより3割り増しくらいカッコいい自分役の俳優が演じる、鬼気迫るスタントが繰り広げられるのです。

このVTRはスローモーションやコマ送りはもちろん、3Dの3人称視点のようにぐるぐるカメラを回すことだってできるはずです。

これはもう「映像作品」と言わずしてなんと呼べばいいんでしょうか。

脳内で作った再現VTRの可能性

今回落車骨折をして、人に説明をする中で、こんな気づきがあったんですよね。

改めて考察してみると、あながち間違ってもいないと思うんですよね。

日常的なことはすぐに忘れてしまいますが、繰り返し思い出し、記憶の穴を埋めて行くと、それは記憶から創作作品へと昇華していくんだなと。

人間の脳って面白いなぁと、改めて思った次第です。

この記事を書いた人

ITコンサルタント/Webメディアクリエイター。自転車とカメラと料理が好き。
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