朝7:28。
最終組のスタートから8分後に、僕のあづみのセンチュリーライドがスタートした。
天気は快晴。
4月の後半だというのに、朝の気温は3度とかなり冷え込んだ。
寒いことは寒いが、日差しもあるので凍えるほどではないし、走り出せば体温も上がる。
長袖インナーの上に半袖サイクルジャージ、ウインドブレーカー代わりのレインジャケットという出で立ちで走り始める。
気温の上がるお昼頃にはウインドブレーカーはいらなくなるだろう。
走り始めてすぐに桜が眼に入る。
遠くに視線を移せば、雪をかぶったアルプスの山々が見える。
スタートからこの調子なら、この先の絶景に期待しないわけにはいかない。
あづみのセンチュリーライドとは
「あづみのセンチュリーライド」の説明を少ししておこう。
センチュリーとは、”100”マイルのことを指しており、キロに換算すると160km。センチュリーライドとは、自転車で160kmを走るイベントという意味になる。同名を冠したイベントは世界中にあるが、日本で最も有名なセンチュリーライドが「あづみのセンチュリーライド」だ。
2017年で9回目の開催となったあづみのセンチュリーライド。松本から白馬への安曇野を走りながら、各所の絶景を楽しめるとあって、国内のロングライドイベントの中でも特に知名度が高く、人気がある。昨年放送された自転車アニメ「ろんぐらいだぁす!」でも、このイベントが登場していた。それを見て”あづみの”を走りたいと思った人も多いはずだ。
距離こそ146kmと長いが、初心者も参加しやすいようにとの主催者の想いから、そのコース上には十分な数のエイドが設営され、交差点などで迷わないように案内表示板も出ている。タイムを競うレースではなく、景色や自然を楽しみ、エイドで地元産の補給食を味わいながら走る、最高のレジャーイベントだ。運営もかなりしっかりとした印象で、初心者でも安心して参加できるだろう。
今年は人気の上昇に伴って、4月・5月の2回開催となった。(参加者はどちらか1回しか参加できないという規定がある)
「桜の」と銘打たれているだけあって、開催された4月23日は長野県において桜のピークの時期だ。関東以南に住む人なら、2度目の桜が楽しめることになる。コース上の至る所で桜を楽しめる上に、目線を上げれば雪をかぶったアルプスを望めるという、絶妙なコラボレーションを満喫することができる。
これまでの5月大会とは違った趣きがあって、こちらも人気が出るに違いない。
第1区間、初めてのイベント参加は学びながら走る
10秒ごとのウェーブスタートで始まり、すぐに車道左寄りに隊列ができた。
僕はその隊列についていくことにした。
大勢と一緒に走った経験がないから不安だったが、スピードはなんとかついていけそうだった。
単独での参加なので、隊列の後ろにつかせてもらったり一人で走ったりを繰り返しながら、最初のエイドを目指す。
トレインの後ろについて走り、速度を合わせながら走るのは新鮮だった。
本当に空気抵抗がなくなりぐんぐん進むのがわかる。
しかしちょっと気を抜いたりタイミングがずれると、隊列との距離が離れてしまい、置いていかれることもあった。
合わせて走るというのもなかなか難しいものだなと実感をしながら、どんどん進んでいく。
序盤なのでまだ全開で回したくないし、様子を見ながら走る必要があった。
ひとりで走る場合は、すべて自分で考え対処しなければならないのだ。
普段一人で走ることが多い僕にとって、たくさんの自転車の中で走るのは本当に勉強になった。
ひとりひとりバイクも、ウェアも、ポジションも、体力もみんなすべてが違う。
それらを観察しながら、たくさんのことを走りながら吸収していった。
眼前に現れる数々の難所も、僕を鍛えてくれる。長野は山に囲まれた地形だから、そこかしこに山坂がある。
序盤からそこそこ斜度のある坂が登場して、そこでみんな一気にペースが落ちる。
登りは力の差が現れやすいから、一旦詰まったあと、どんどん隊列がばらけていく。
僕はギアを軽くしてケイデンス(回転数)を上げることを意識して登る。
重いギアで立ち漕ぎをしてギコギコ登るより、軽い力で登った方が楽に、結果として速く登れる。
これは先週登ったばかりのヤビツ峠で学んだことだ。
軽いギアで、ペダルを回せ、回せ。ブツブツ言いながら、グングン登った。
ヤビツに登ったのだから、多少の坂はものともしない。登っておいてよかった。
下りは思い切り前傾姿勢を取りながら、バンクを切ってかっ飛ばす。
気持ちがいい瞬間だ。(あっ、下ハン握ってない)
北に向かうにつれて、雪をかぶったアルプスが見え始めた。
思わずみんな自転車を止めて写真を撮る。
こんな絶景がまだまだたくさんあるなんて、安曇野すごい。
そして、そこを自転車でサイクリングできるなんて、なんという贅沢なんだろうか。
センチュリーライド、来てよかった。
第1エイド到着そして罠が
約1時間で20kmほど走り、第1エイド「あづみの公園 穂高エイド」に到着した。
僕にとっては自転車イベントそのものが初めてだったから当然エイドも初めての経験だ。
公園だけあって、さすがに景観が素晴らしい。
みんなトイレに並んだり、絶景の写真を撮ったりしている。
もうここでお弁当とか食べはじめたい気分だ。
僕も一通り写真を撮ってから、トイレの列に並んだ。
「トイレは行ける時に行っておく」というのは、ロングライドにおける基本中の基本だ。
これを逃すと次にいつ行けるかわからないことも多いので、大抵の人がエイドで用を足していく。
しかしここは罠だった・・・!
もっと先の補給食を配っているところにも何箇所かトイレがあったのだ。
これを知ってればわざわざ並ばなかったんだけど。。。
結構な時間のロスになってしまったので、以降はトイレが何箇所どこにあるかを探るようにした。
「穂高エイドの最初のトイレは罠」と覚えておこう。
最初のエイドでの補給食はパンとおまんじゅう。
地元の食べ物をふるまってくれるのはとても嬉しいサービスだ。
自然豊かで景観の良いところで食べるものは、絶対に美味しい。
のんびり写真を撮りながら補給食を堪能する。
しかし「第1エイドの終了10分前です」のアナウンスで、はっとした。
第1エイドについたのは8:25、第1エイド終了の時間は9:00だ。
いかん、ちょっと滞在しすぎた。
これはもしかして制限時間ギリギリペースなのでは…!
僕はおまんじゅうを口に押し込み、急いで次の区間へ向かうことにした。
つづく
次回の予告
次回はセンチュリーライド屈指の激ウマ補給食、味噌ネギおにぎりの登場だ!
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