ラ・フォル・ジュルネ2016に行ってきました。
2014、2015年はほぼ3日間会場に行ったのですが、今年は他にも用事があったため、行ったのは初日の夜のみ。
昨年から方向性が変わったラ・フォル・ジュルネ(以下LFJ)のレポートをお届けしましょう。
LFJは今年も盛況
今年も盛況で、たくさんの人々で賑わう有楽町東京国際フォーラム。
野外でも演奏しているし、出店がたくさんあって楽しいので、ただ飲みに来ている人も多いんじゃないかなと思うくらい。
混雑具合は昨年と同程度の印象、やはり2014年の10回記念よりは少ないように感じました。
GWは競合するイベントなども多いので、人をたくさん集めるのはなかなか難しいですね。
2016年のテーマはla nature(自然)
作曲家縛りから始まったLFJですが、メジャーな作曲家をやり尽くしたこともあり、毎年テーマを決めた構成を取るようになっています。
昨年の「パシオン(情熱)」というテーマに続いたのは、「ナチュール(自然)」。
確かに自然をテーマにした楽曲を揃えていましたが、選曲キャスティングなどを見てもこれだ!と感じるものがそれほど多くなかったなという印象でした。
作曲家を楽しむという構成に比べると、どうしても抽象的になりやすいので、今後の大きな課題なのかなと思っています。
個人的にも、今年は2公演を聴いたのみでした。
実は今年の有料公演は「どうしてもこれが聴きたい」と思うものが残念ながらなかったので、先行予約は利用しませんでした。
1日どこかで見に行っておこうかな?くらいのつもりだったので、今年はライトに楽しんだ感じでしたね。
大自然の音楽、2公演を楽しんだ
僕が聴いたのは5000人収容の巨大な「ホールA」で行われた2つの公演。
1つ目は「海」をテーマにした公演。
ドビュッシーの名曲、交響詩『海』を堪能したあと、細川俊夫作曲者『循環する海』が続きます。
『循環する海』は、メロディのない演奏者泣かせな曲でしたが、人生はまるで海のようだと言わんばかりに、少しずつ変容していく音楽がなかなか興味深く、楽しめました。
2つ目はヴィクトロワの『青龍』とグリーグのピアノ協奏曲。
『青龍』は、中国の音階も垣間見えましたが、聴きやすく演奏効果の高い曲でした。
作曲者のヴィクトロワさんも会場にいて、演奏後に紹介されていましたね。
続いて、今回楽しみにしていたグリーグのピアコン。
実はLFJ開催直前になってソリストのボリス・ベレゾフスキーが体調不良により出演キャンセルになりました。
公園前にプロデューサーのルネ・マルタン自ら登場して謝罪がありました。
ベレゾフスキーは今年のLFJの目玉の1つだったはずで、それだけに運営側も辛かったのでは。
代打は新潟LFJに同曲を演奏するために来ていたフランク・ブラレイ。
彼の演奏は申し分なく、北欧の壮大な大自然を感じさせるグリーグの世界観をたっぷりと堪能させてもらいました。
この2公演のオーケストラは、LFJではおなじみになったウラルフィル。
2014年にも一度聞きましたが、難曲も卒なく弾きこなす、なかなかいいオケですね。
LFJが抱える課題とは
どちらの公演もとてもしっかりとした演奏を聞かせてもらって、満足ができました。
ホールを見渡していて気になったのは、やはり5000人という大きな箱はなかなか埋まらないということ。
いい席はほぼ埋まっていますが、後方の席は空席が目立っていました。
2014年のアルゲリッチ、クレーメルが出演した公演はさすがに売り切れていたように記憶していますが、それほどの公演を生み出すのは、なかなか難しいなぁと感じさせられました。
(普通のコンサートホールは2000席ほど。2.5倍あるので、かなり無理があるのですが)
逆に、1000席未満の小さいホールの公演は、予約完売してしまって一般の人が気軽に聴きに行くのは難しいなど、集客や構成においてはまだまだ課題も多いようです。
2017年のテーマは?
来場者数の伸び悩みを見せているLFJですが、設定されるテーマもその大きな要因の一つ。
開催期間中の有料公演をカバーできるほどの壮大なテーマは、来場者をひきつけるだけのわかりやすさと強さを持つ必要があります。
いずれ発表されるであろう来年のテーマも、要注目です。
まだまだ課題はあるものの、規模的には日本最大級の音楽祭であるラ・フォル・ジュルネ。
その知名度の高さで、地方への進出も増えてきています。
今後も日本の音楽業界を元気に牽引していってほしいですね。
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