先日、とあるクリスマスコンサートに出演しました。
そのときのエピソードはこちらで。

僕はこれまでずっとiPadで楽譜を表示させたものを利用して練習していました。
カラオケボックスという、照明環境があまり良くない場所でもiPadのバックライト液晶はとても見やすかったし、たくさんの楽譜を持ち歩かなくてよいのは非常に楽でした。
ところが、いざ演奏会の本番で使おうと考えてみると、越えなければならない課題やリスクが多すぎて、やめてしまいました。
結局、演奏会はPDFをプリントアウトして、紙の楽譜を使うことになったのでした。
僕は今後も楽譜の電子化については研究を続けていきますが、課題の整理という意味でここに書いておこうと思います。
iPad楽譜を本番で使わなかった理由
僕が演奏の本番でiPad楽譜を使わなかったのは、こんな理由からでした。
1.普通の譜面台では不安定
大きなホールでの演奏会なら、ホールで頑丈な譜面台が借りられますが、自前で用意しなければならないような場合は、譜面台の強度はかなり下がってしまいます。
一般的な折りたたみできる譜面台の場合、ちょっとバランスが崩れると倒れてしまう危険性があります。
紙の楽譜の場合は、楽譜そのものは軽量ですし、扱う方も慣れているので、うまく楽譜をめくることができます。
ところがiPadになるとかなり重量が重くなってしまう上に、譜めくり時のアクションは
「液晶をタッチ」
しなければなりません。
自然と指の力は”譜面台を押すように”働くので、非常に不安定な状態になってしまいます。
さらにA5片面相当のiPadでは、表示可能な面積が限られているので、必然的に譜めくりの回数が増えてしまい、それだけリスクが増えてしまいます。
端末を楽譜代わりに、演奏会で使う場合は、倒れにくい対策をするか、専用のスタンドが必要になりそうです。
「フットペダル」や「ジェスチャー」でも譜めくりはできますが、誤動作などが怖いので実用にはまだハードルがあると思っています。
2.再起動やフリーズ、電源への対応に不安
iPadは比較的動作が安定した端末ですが、電子機器にはつきものの突然の不具合による再起動やフリーズが不安でした。
- 楽譜表示に使っているアプリが突然落ちてしまったらどうする?
- バッテリーの充電をうっかり忘れていて、本番中にバッテリー切れを起こしたら?
- 譜面台を倒して壊れてしまったら?
- 自動スリープの解除を忘れてしまったら?
- SNSの通知が来て集中力が途切れたら?
いざというときの対処方法を考えておかないと、何か起きた時に演奏に支障がでてしまうかもしれません。
(1)の譜面台もそうですが、専用譜面台には充電機能が搭載されているといいですね。
3.楽譜を編集しにくい
今回出演したような演奏会の場合、合わせをしながら曲のカットやパートを変更することもあります。
また、必ずしも楽器ごとにめくりやすい(クラリネットの右手が空いている時にめくる、など)ページ構成にはなっていないことも多いので、そういう場合は自分で切り貼りをします。
しかし、元がPDFファイルを使った楽譜の場合、編集には別途ソフトが必要になりますし、面倒なことが多いです。
(1)でもあったように、譜めくりの回数が多いと、それだけ楽譜の調整が必要になることも増えてしまいます。
4.バックライトの明かりが不適切?
今回出演した演奏会は、夜に行われたクリスマスコンサート。
明かりも少し暗めになるということで、紙の楽譜用には譜面等などを使いました。
バックライト搭載のiPadは、便利かと思うかもしれませんが、実はデメリットもあります。
バックライトの明かりは、自然と顔を照らすようになってしまい、暗い中で青白い顔がうかんでしまいます。
照明の強さや、演出によっては、バックライトの明かりは不適切になってしまうこともあると考えられます。
Kindle Whitepaperのような電子ペーパーなら、この点はクリアできますね。(見るのに照明が必要ですが)
まとめ
まだまだ端末に楽譜を表示させて演奏するというのは、技術的にも、演奏者側にもパラダイムシフトが必要なようです。
僕も今回の演奏を機に、本格的にiPad楽譜を実用化してみたくなってきました。
まだまだ試したアプリも少ないので、そういったレビューも行っていきたいと思います。
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